Con Vento

prova a ragionare sull'amore e perderai la ragione

音楽

あの人、音楽大学いったらしいけど、そんなに楽器上手じゃないね。

あの人、音楽大学いったらしいけど、そんなに楽器上手じゃないね。

「あの人、音楽大学いったらしいけど、そんなに楽器上手じゃないね。」

現役音大生、音大卒業生、職業音楽家、レッスンプロを潰す「悪魔の一言」です。バンドの仲間、演奏会を聴きに来てくれたお客さん、付き合っている彼女、隣に住んでいるオバサン、誰にこの一言を言われたとしてもガラスの心は粉々に打ち砕かれます。(笑)音楽家が練習をする「さらう」って行為は、どこか何かを恐れている感じと似ています。

そんな僕もこんなことを言われたら生きていけないと思いながら、ビクビクしながらホルンを吹いているひとりでした。恐れと音楽は同じラインにあったのです。社会人になってからは、北海道の片田舎で「あの人、トウキョウの音大行ったらしいよ」という言葉を浴びせられながら天然記念物扱い。(田舎で音大出身とか美大出身なんていうと珍しい動物を見たときの顔と同じ顔をされます)「音大出身」なのに凄まじい速度で演奏が下手になっていく。毎日吹いていたものが吹く時間が取れなくなるワケで、当たり前といえば当たり前。上達するどころか学生時代の貯金をどんどん食いつぶしていく感じです。

30代になると体力低下を感じ、少しホルンを吹いただけでも身体があちこち痛い。特に左の肩甲骨まわりがゴリゴリと・・・。楽器を持つ指も痛い。首も凝り固まって具合が悪くなる・・・それはそれは最悪な状態でした。演奏会に出れば、数日間は社会復帰出来ない状態。まさに廃人です。

そんな痛々しい音楽家は、吹けなくなってきた自分を客観視して、最後は精神的に開き直れるかどうかという論理に到達します。「へたくそな自分を許せるかどうか」という。「そんなの許せない!」という人もたくさんいるので、そういう人は自ら演奏する機会を減らすようになります。そして、どんどん演奏ができなくなっていく。まさに負のスパイラルです。

当時の演奏は、どんなものだったかというと「暗くて」「辛くて」「痛くて」「見るに堪えない」といった感じ。まさに苦悩の音楽。音楽の苦しみを表情と演奏で、存分に表現していました。(笑)演奏会に出ることがあれば、どんな音楽をつくろうか?ということよりも、どうやってミスを減らせるかばかりを考えていました。ハイトーンやppの全音符ひとつが怖くて怖くて仕方がありません。

そんな闇のなかを僕がウロウロしていたときに出会ったのがアレクサンダー・テクニークです。確かTwitterでバジル・クリッツァーさんのツイートがリツイートされているのを見かけたのだと思います。

正直、第一印象は「胡散臭い」の一言です。アレクサンダー・テクニークという「それなんのテクニック?」と突っ込みたくなるネーミングの怪しげなモノを世の中に広めようとしている怪しい外国人=バジル・クリッツァーさんという感じでした。(バジルさん、お酒おごるから許してね(笑)

2014年にバジル先生のレッスンをはじめて受けたことは、僕の人生を大きく変えました。

音楽大学の◯◯先生、有名なオーケストラの超有名ホルン奏者の◯◯先生に何度レッスンを受けても解決しなかったことの数々。そんなことが信じられない速度で解決していきました。いま思えば、非常に科学的だったり論理的なアプローチで演奏を改善していくわけですが、そのとき僕がみた印象は「まるで魔法」でした。一瞬にして音楽が変わる。一瞬にして響きが音色が変わる。今まで体験してきた音楽レッスンでは、味わったことがない「魔法の時間」がそこにありました。

僕自身、何でも自分でやらないといけない、自分で責任を取らないといけないと思っている性格でした。仕事でも音楽でも。ところが最近は、「こんなに上手に指導出来る人がいるのなら、その人に聞いてみたり、教えてもらったらいいんだ」ということに気づきました。自分の練習をして、たまにレッスンを受けて演奏のヒントをいただく。そしてまた練習する。「バジル先生に一年に一度でもいいからレッスンを受けたい」と心から思ったのです。僕の大切な友人や音楽を愛する素晴らしい仲間にも「魔法の時間」を味わってほしいと思った。

これがアレクサンダー・テクニークセミナー北海道を立ち上げた理由でもあります。

この動画は、アレクサンダー・テクニーク導入前と導入後の音色比較です。

実は、アレクサンダー・テクニーク導入後に僕は少し悩みました。今までよりも響きの量が増えて、明るくなった自分の音色に納得がいかなくなり、方向性が見えなくなったのです。自分の理想である「音色」がわからなくなりました。目指すべき場所を一度失ったというか。そこで18歳の頃から僕の演奏を知っている音楽大学時代の同期、後輩、先輩、先生に動画を見ていただき、感想を教えてもらいました。(20年たってもこんな素晴らしい仲間がいたんだということを再認識して本当に嬉しかったです。)

  •  「音のクリアさとデュナーミクの違い」かなと。今の演奏は、一つ一つの音がキレイに粒が揃って立っているように感じます。以前のはキレイですけど、音の輪郭が少し滲んだ感じかなと。年数が経てば曲に対する解釈も変わるでしょうし、そうなると音も変わると思うので、その違いを引いても音の立ち方、特にフレーズ頭の音の明確さが、今はハッキリしてます。だからと言って、カチカチに硬い音ではなく、そこから気持ちよく音が伸びて行ってるなぁと。
  • 音が明確に出せる、それもラインをキレイに描けるということは、音の自由度、柔軟性が高いからだと思うんです。そうなると、デュナーミクも増減が自由に、変幻自在に出来るんじゃないかと。今の演奏からはそれを感じました。
  • 前の演奏も、もちろんお上手です!でも、枠があるように感じました。つまり、自由度、柔軟性が今より少なかったのかもと。
  • 音の太さと安定感が跳躍も。素晴らしい 佐藤さんが吹きやすいと感じてて演奏も良くなってるなら大成功ですね
  • 音が太く響いていたこと、前の演奏の音が理想とする音であったことを含めて。
  • 姿勢が良いですね~♪
  • 音もスムーズに出ていると思います。いつまでも向上心があって佐藤さんは尊敬できる先輩です。
  • 音色の(響き)の変化は、アレクサンダー・テクニークの醍醐味ですね!たぶん、響きがとにかく増えるんだと思います。まずそれで音色の印象が変わる。
  • 余計な操作とかもたぶん減るんでしょうね、それでそのひとらしい音色がそのまま出てくるようになる。
  • 音程も合わせやすくなりますよね (^^)
  • なんか音色明るくなった気がするよ。座って吹いてるのと違い?があるのかもしれないからはっきりしたことは言えないけど(^^;
  • 明暗いうと明るくなったかなーって感じるかなぁ…..
  • 息も入ってる感じするもん♪すごいね!!!!!!
  • 音の響きと言うか太さ(この表現嫌いなんだけど)が今の方がコンパクトになったかな?それがダメだとは思わないけど。良い音であることには変わらないと思います。
  • おそらくダイエットとアレクサンダー・テクニークで身体と演奏が楽になった??もし楽になったなら今のままの方が良いと思うよ。
  • 母が義高君の音変わったねと言ってました。何もわからない素人のコメントは侮れません(笑)
  • 俺は昔の柔らかいよっちゃんの音色凄く好きだったけど、この動画の音も芯がしっかりしていて聴きやすいと思う!
  • きっとよっちゃん自身が馴れてきたら此方の方向で昇華して行くんじゃないかな?
  • 俺は好きです、この音。生で聴いてみたい!

アレクサンダー・テクニーク導入後、僕のなかで「音色」に関する考え方が変わりました。

今までは、自分が決めた理想の音色を追求するために色々なことを捏ねくり回して、調整して、作り上げようとしていました。これには、肉体的にも精神的にも無理がかかっていました。ところが今は、自分の身体(体格や骨格)や性質から自然と導き出される音色を極めていこうという方向性となりました。今は、本当にホルンを吹くのが楽しくてたのしくて。今まで聞いたことがないような響きで楽器が響き、きつかった高音も以前よりずっと楽に発音できるのです。

いよいよ来週、アレクサンダー・テクニークセミナー北海道第一回目のセミナーが札幌市で開催されます。みなさんとお会い出来ること、たくさんの学びを共有できることを楽しみにしています。

(写真は、自宅のリビング。僕の大切な練習場所です。)

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